カポジ肉腫様血管内皮細胞腫

カポジ肉腫様血管内皮細胞腫(kaposiform hemangioendothelioma: KHE)は、稀な局所浸潤性の血管性腫瘍です。(カポジ型(様)血管内皮腫、カポジ血管内皮腫と呼ばれることもあります)。

約半数は生まれつき発生しています。四肢や体幹部などの皮膚から皮下組織に好発します。また関節や内臓などに発生します。染み込むように広がるため、皮膚の色が赤黒く変化したり、硬い腫瘤として触れ、筋肉痛や関節可動域制限などを起こすこともあります。カサバッハ・メリット現象といい、重篤な血小板減少、凝固異常を起こす可能性があり、進行すると容易に出血し、急に内出血を起こし腫れることもあります。

根治的な治療法は無く、正常組織に浸潤するため、外科的治療は困難です。そのため、これまではステロイド、抗がん剤(ビンクリスチン)などが有効な治療薬として使用されてきましたが、乳児への長期的な治療は成長障害や骨粗鬆症などが問題でした。また治療に難渋する症例に対する放射線治療が行われることもありますが、晩期合併症が大きな問題となります。KHE自体の残存病変による晩期合併症も問題となります。

最近では、シロリムス、エベロリムスによる治療が高い効果を示したとする症例が多数報告されており、多数例での解析が進んでいます。近い将来、使用できるようになると、本疾患の患者さんの予後を劇的に改善させる可能性が出てくると考えています。