患者・市民参画

患者・市民参画(patient and public involvement; PPI)とは、医学の研究を進める上で、研究者が患者や市民の方の意見を聞きながら、参考になる意見を研究計画に反映して、ともに研究を進めていく手法です。患者に寄り添いながら、医療分野の研究成果を一刻も早く実用化し、患者やご家族の元に届けることを目的としています。

患者を中心とした医療の提唱には長い歴史があり、米国から大規模な調査結果をもとにした「患者中心のケア」の提唱(ピッカー・コモンウェルス・プログラム)に始まります。その後、徐々に浸透し、病名の告知やインフォームド・コンセント/チョイなども確立されてきました。近年、患者は確立された医療を享受するだけでなく、よりよい医療をつくりあげるパートナーとして、その過程に参画する役割も求められるようになってきています。

 例えば、国立がん研究センターには「がん対策情報センター」があり、2008年には「患者・市民パネル」が設置されています。またアレルギー分野でも「アレルサーチ」の中でスマホアプリを利用した花粉症の研究にPPIが使用されています。

 一方、難病研究の中でもAMED研究班等でPP Iに取り組まれている事例もあります。また、診療ガイドラインの作成の段階で患者・市民の視点を反映することが重要だとされています(日本医療機能評価機構、Minds診療ガイドライン作成マニュアル2020、11ページ)。今後、さらに盛んに行われていくことになるだろうと思われます。

 AMED小関班では、シロリムスを代表とする薬物療法が患者さんに理解しづらい、情報が十分公開されていないことが問題であると考え、2022年度にPPIメンバーを募り、本ホームページ作成を行いました。詳しくは該当ページをご覧ください。

PPIの取り組み、本研究班について