蛋白漏出性胃腸症

  内容
日本語名 蛋白漏出性胃腸症
英語名 Protein-losing gastroenteropathy
略語 PLE(Protein-losing enteropathy)
読み方 たんぱくろうしゅつせいいちょうしょう
カテゴリ 7、リンパ管奇形

蛋白漏出性胃腸症(protein-losing gastroenteropathy)とは、消化管からタンパク質が過剰に漏出・喪失することにより、低タンパク血症(特に低アルブミン血症)を引き起こす病態の総称です。

【病態のメカニズム】

通常、血液中のタンパク質(アルブミンや免疫グロブリンなど)は腸管壁を通過しにくく、消化管への漏出はごくわずかです。しかし、以下のような状態では消化管からのタンパク質漏出が増加します。

・腸管リンパ管の異常(リンパ管拡張症など)

・腸管粘膜の炎症や潰瘍

・腸管粘膜の透過性亢進

・腸管壁の静脈圧上昇

【リンパ管奇形と蛋白漏出性胃腸症】

血管腫・血管奇形の分野では、以下の疾患で蛋白漏出性胃腸症を合併することがあります。

腸管リンパ管拡張症(Intestinal lymphangiectasia)

・腸管のリンパ管が拡張・破綻し、リンパ液が腸管内に漏出する

・リンパ液にはタンパク質(アルブミン、免疫グロブリン)やリンパ球が含まれるため、これらが消化管から失われる

・原発性(先天性)と続発性(二次性)がある

リンパ管腫症(Lymphangiomatosis)

・全身性にリンパ管組織が増殖する疾患

・腸管にリンパ管病変が及ぶと、蛋白漏出性胃腸症を起こすことがある

・胸水や腹水を伴うことも多い

ゴーハム病(Gorham-Stout disease)

・骨を中心にリンパ管病変が進行する疾患

・消化管病変を伴う場合、蛋白漏出性胃腸症を起こすことがある

【主な症状】

・浮腫(むくみ):低アルブミン血症により、血管内に水分を保持できなくなるため

・下痢:脂肪便(脂肪の吸収障害による白っぽい便)を伴うことがある

・腹水:腹腔内に水が溜まる

・体重減少・成長障害

・易感染性:免疫グロブリン(抗体)の喪失による低ガンマグロブリン血症

・リンパ球減少

【検査所見】

・血液検査:低アルブミン血症、低ガンマグロブリン血症、リンパ球減少、低コレステロール血症

・便中α1-アンチトリプシン:消化管からのタンパク漏出の指標として測定

・画像検査:CT、MRI、消化管内視鏡、カプセル内視鏡など

・核医学検査:99mTc標識アルブミンシンチグラフィなど

【治療】

<栄養療法>

・低脂肪食:腸管リンパ管への負担を軽減

・中鎖脂肪酸(MCT):リンパ管を経由せず門脈から直接吸収されるため有用

・高タンパク食:失われるタンパク質を補う

<薬物療法>

・アルブミン製剤:重症例では静脈注射で補充

・ガンマグロブリン製剤:低ガンマグロブリン血症による感染リスクが高い場合

・シロリムス:リンパ管奇形に対する治療薬として効果が期待され、本邦では薬事承認されている

<原疾患の治療>

・リンパ管奇形に対する硬化療法、手術など

【関連情報】

項目 内容
関連用語 低アルブミン血症、低ガンマグロブリン血症、腸管リンパ管拡張症、アルブミン製剤、ガンマグロブリン製剤
関連疾患 リンパ管腫症、ゴーハム病、腸管リンパ管拡張症
関連治療 栄養療法(低脂肪食、MCT)、シロリムス

https://cure-vas.jp/list/lymphatic-malformation/

(最終編集:2026219日)