2025.02.12
低流速型脈管奇形に対するPI3Kα阻害剤の国内第Ⅱ相試験の結果が公表されました!
2025年2月10日、Orphanet Journal of Rare Diseasesに、低流速型脈管奇形に対するPI3Kα阻害剤の国内第Ⅱ相試験の結果が公表されました!
この治験に関われた多くの患者さん、ご家族をはじめ、治験担当医師、病院の関係者のみなさま、またこの薬剤の開発にご尽力いただきました、製薬会社の社員の方々には深くお礼申し上げます。
以下に、内容をわかりやすくまとめました。
背景:
血管の異常が原因で起こる病気(静脈奇形、リンパ管奇形、クリッペル・トレノネー症候群)の患者さんの病変部位から、PIK3CAという遺伝子に変異が見つかります。そこで、この遺伝子の働きを抑える新薬ART-001の効果と安全性を確認する研究が行われました。
研究方法:
– 2歳以上の患者さん35人を対象に実施
– 患者さんを2つのグループに分け、24週間にわたって1日50mgか100mgの薬を服用
– 主な評価項目は、病変の体積が20%以上減少した患者さんの割合
– その他、安全性や痛み、生活の質なども評価
結果:
– 50mgを服用したグループでは約29%、100mgのグループでは約33%の患者さんで病変の体積が20%以上減少
– 深刻な副作用は見られず、現れた副作用も軽度で一時的
– 子どもと大人で薬の体内での働きはほぼ同じだった(ただし、子どもでは薬の濃度が少し低めだった)
結論:
ART-001は効果があり、副作用も少なく安全に使用できることがわかりました。今後さらに研究を進めて、長期的な効果と安全性を確認していく予定です。
https://ojrd.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13023-025-03564-z
(上から全文を見ることができます)(英語です)
現在、国内で第Ⅲ相試験が進んでおり、結果が待たれます(募集は既に終了)。