薬物療法

薬を使った医学的な治療のことです。血管腫・血管奇形(脈管異常)における薬物療法の役目とは、主に症状の緩和、合併症の治療になります。

痛みに対しては、痛み止めを使用します。具体的には、アセトアミノフェンNSAIDS非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs:Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs)を使用します。まれに弱オピオイド(コデインやトラマドール)、強オピオイド(モルヒネ・フェンタニル・オキシコドン・タペンタドール)を使用する場合もあります。

出血に対しては、止血剤(トラネキサム酸など)、むくみ、炎症に対しては、利尿剤、ステロイド、漢方などが使用されます。また病変部位に感染を起こした場合は、抗生物質、抗真菌薬、消毒薬、血栓症に対しては抗凝固薬を使用することがあります(詳細はそれぞれの項目を参照してください)。

また病気そのものを小さくさせる治療も以前から行われています。血管腫(乳児血管腫、その他の血管性腫瘍など)に対して、ステロイド、抗がん剤が使用されていました。これら効果が不十分な上に、副作用(ステロイドは高血圧、糖尿病、緑内障、肥満、長期的には成長障害、骨粗鬆症など)
最近は、さらに新たな治療薬として、乳児血管腫に対するプロプラノロール(βブロッカー)や、その他の血管腫・血管奇形に対するシロリムスなどが開発されています。またシロリムスを皮切りに、様々な分子標的薬が注目されてきています。