低流速型脈管奇形
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 日本語名 | 低流速型脈管奇形 |
| 英語名 | Slow-flow vascular malformation |
| 略語 | ― |
| 読み方 | ていりゅうそくがたみゃっかんきけい |
| カテゴリ | 8、混合型脈管奇形、KTSなど |
低流速型脈管奇形とは、血管奇形(脈管奇形)を血液やリンパ液の流れる速さによって分類した際の一つのグループです。病変内の血流またはリンパ流が遅い(低流速)という特徴を持ちます。ISSVA分類(国際血管腫・脈管奇形学会の分類)では、脈管奇形をこの流速によって「低流速型」と「高流速型(動脈成分を含むもの)」に大きく分けています。
【低流速型脈管奇形に含まれる疾患】
低流速型脈管奇形には、以下の疾患が含まれます。
・毛細血管奇形(単純性血管腫):皮膚の毛細血管が拡張した病変。いわゆる「赤あざ」の多くはこれにあたります。
・静脈奇形(海綿状血管腫):静脈が袋状に拡張して血液が貯まる病変。脈管奇形の中で最も多いタイプです。
・リンパ管奇形(リンパ管腫):リンパ管が嚢胞状・海綿状に拡張した病変。
・混合型脈管奇形(毛細血管・静脈・リンパ管の組み合わせ):上記の低流速型成分が2つ以上混在するもの。クリッペル・トレノネー症候群(毛細血管奇形+静脈奇形+リンパ管奇形+患肢の過成長)はその代表的な疾患です。
【高流速型との違い】
動脈や動静脈瘻(ろう)を含む動静脈奇形・パークスウェーバー症候群などは「高流速型(high-flow)脈管奇形」と呼ばれます。高流速型では病変部に拍動(ドクドクとした波動)が触れたり、超音波検査で速い血流が確認できます。一方、低流速型ではこのような動脈性の所見はなく、病変を圧迫したり心臓より高く上げると萎みます(静脈奇形の場合)。治療方針や合併症が異なるため、正確な分類が重要です。
【低流速型脈管奇形に共通する合併症と注意点】
静脈奇形やリンパ管成分を含む低流速型脈管奇形では、血流の滞りによって血栓が形成されやすく、凝固因子が慢性的に消費される「限局性血管内凝固障害(LIC)」が起こることがあります。手術や処置の前には必ず血液検査でLICの有無を確認し、必要であれば抗凝固療法を検討することが勧められます。
| 備考 | クリッペル・トレノネー症候群はISSVA分類では「混合型脈管奇形」に分類され、低流速型成分(毛細血管奇形・静脈奇形・リンパ管奇形)と患肢の過成長を特徴とする。シロリムスは2024年1月に「混合型脈管奇形・クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群」に対して薬事承認されている |
https://cure-vas.jp/list/combined-vascular-anomalies-klippel-trenaunay-syndrome/ 混合型脈管奇形の治療法を教えてください。
【関連情報】
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 関連用語 | 高流速型脈管奇形、ISSVA分類、静脈奇形、リンパ管奇形、毛細血管奇形、クリッペル・トレノネー症候群、限局性血管内凝固障害(LIC) |
| 関連薬剤 | シロリムス、抗凝固薬(低分子ヘパリン・ワルファリン)、硬化剤 |
| 関連検査 | 超音波ドプラ検査、MRI検査、血液検査(Dダイマー、フィブリノーゲン、血小板数)、血管造影検査 |
(最終編集:2026年2月23日)