単純性血管腫

項目 内容
日本語名 単純性血管腫
英語名 Hemangioma simplex
略語
読み方 たんじゅんせいけっかんしゅ
カテゴリ 5、毛細血管奇形

単純性血管腫(hemangioma simplex)は、毛細血管奇形(capillary malformation:CM)の旧称です。現在のISSVA分類では「毛細血管奇形」が正式な病名として使用されており、「単純性血管腫」という名称は使用が推奨されていません。

【名称の変遷と混乱】

従来、日本では以下のような旧称が使用されてきました。

・単純性血管腫 → 毛細血管奇形(capillary malformation)

・いちご状血管腫 → 乳児血管腫(infantile hemangioma)

・海綿状血管腫 → 静脈奇形(venous malformation)

これらの旧称はすべて「血管腫」という言葉を含んでいますが、実際には「血管腫(腫瘍)」と「血管奇形」は全く異なる疾患です。乳児血管腫は血管内皮細胞の増殖による「腫瘍」であるのに対し、毛細血管奇形や静脈奇形は血管の形成異常による「奇形」です。このような名称の混乱が、患者さんや医療者の間で病気の理解を難しくしている原因の一つとなっています。

【毛細血管奇形(旧:単純性血管腫)とは】

毛細血管奇形は、皮膚の毛細血管が先天的に拡張・増加した状態で、皮膚に赤い平坦なあざ(紅斑)として現れます。出生時から存在し、自然に消退することはありません。

<臨床的特徴>

・出生時から存在する赤い平坦なあざ

・自然消退しない(乳児血管腫との重要な違い)

・年齢とともに色調が濃くなったり、肥厚することがある

・顔面、四肢、体幹など全身どこにでも発生しうる

<毛細血管奇形の種類>

・ポートワイン毛細血管奇形(Port wine CM):最も一般的な毛細血管奇形。以前は「ポートワイン母斑(port wine stain)」と呼ばれていたが、”stain(しみ)”という言葉には否定的な意味合いがあるため、現在は使用が避けられている

・サーモンパッチ(salmon patch):新生児の額、眉間、上眼瞼などに見られる淡い紅斑。多くは1〜2歳頃までに自然に消退する

・ウンナ母斑(Unna’s nevus):後頚部に見られる毛細血管奇形。サーモンパッチと異なり、自然消退しないことが多い

<関連する遺伝子>

GNAQ遺伝子、GNA11遺伝子の体細胞変異が多くの毛細血管奇形で見つかっている

<関連する症候群>

・スタージ・ウェーバー症候群(Sturge-Weber syndrome):顔面の毛細血管奇形、緑内障、軟膜血管腫症の三徴

【治療】

・色素レーザー(パルス色素レーザー)療法が第一選択

・早期からの治療開始が推奨される

・完全に消失させることは難しいが、色調を薄くすることが期待できる

【関連情報】

項目 内容
関連用語 毛細血管奇形、ポートワイン母斑、サーモンパッチ、ウンナ母斑、パルス色素レーザー
関連疾患 スタージ・ウェーバー症候群、ISSVA分類
関連遺伝子 GNAQGNA11

https://cure-vas.jp/list/capillary-malformation/

(写真:Cordisco MR, Vascular Anomalies in Childhood)

(最終編集:2026217日)