心不全

日本語名

心不全

英語名

Heart failure

略語

HF

読み方

しんふぜん

カテゴリ

リンパ管奇形、動静脈奇形、混合型脈管奇形、KTSなど

備考

血管腫・血管奇形では主に「高拍出性心不全」が問題となる

心不全(heart failure)とは、心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送り出せなくなった状態をいいます。血管腫・血管奇形の分野では、特に「高拍出性心不全」(high-output heart failure)が重要な合併症として知られています。

【高拍出性心不全とは】

通常の心不全は心臓の収縮力が弱くなって起こりますが、高拍出性心不全は「心臓が頑張りすぎて疲れてしまう」状態です。動静脈奇形(AVM)などでは、動脈と静脈が直接つながる「シャント(短絡)」があるため、血液が毛細血管を通らずに心臓に戻ってきます。このため心臓は通常より多くの血液を送り出さなければならず、長期間続くと心臓に過度の負担がかかり、心不全に至ります。

【心不全を起こしやすい血管腫・血管奇形】

動静脈奇形(AVM)

  • 大きな動静脈シャントがあると心臓への負担が増大
  • ショービンガー分類のステージⅣは「高拍出性心不全を伴う状態」
  • 肝臓の動静脈奇形(HHTに合併)でも起こりうる

パークスウェーバー症候群

  • 四肢に広範な動静脈瘻を伴う混合型脈管奇形
  • 大きなシャント血流により心不全のリスクがある

乳児の肝血管腫(多発性)

  • 肝臓に多発する血管腫により大量のシャント血流が生じる
  • 新生児・乳児期に心不全を発症することがある

リンパ管奇形・リンパ管腫症

  • 直接的なシャントはないが、心嚢水(心臓周囲に液体が溜まる)により心臓が圧迫される
  • 重症化すると心タンポナーデ(心臓が十分に拡張できない状態)を起こす

心不全の症状

  • 息切れ、呼吸困難(特に横になった時や運動時)
  • 動悸(心臓がドキドキする)
  • むくみ(足首、すね、お腹)
  • 疲れやすい、だるい
  • 体重増加(水分貯留による)
  • 乳児の場合:哺乳不良、体重増加不良、多呼吸、発汗

診断と検査

  • 胸部X線検査:心臓の拡大、肺うっ血の有無
  • 心電図:不整脈、心臓への負担の評価
  • 心臓超音波検査(心エコー):心機能、弁の状態、心嚢水の評価
  • BNP / NT-proBNP(血液検査):心不全の重症度を示すマーカー

治療

  • 原因治療:動静脈奇形に対する塞栓術、手術などでシャント血流を減らす
  • 薬物療法:利尿薬(むくみを取る)、強心薬、血管拡張薬など
  • 心嚢水に対して:心嚢穿刺、ドレナージ
  • 生活管理:塩分・水分制限、安静

注意点:心不全は生命に関わる重篤な合併症です。動静脈奇形やパークスウェーバー症候群などの高流速型病変をお持ちの方は、息切れ、むくみ、動悸などの症状に注意し、定期的な心機能の評価を受けることが大切です。

関連情報

  • 関連用語: 高拍出性心不全、動静脈短絡(シャント)、ショービンガー分類、心タンポナーデ、心嚢水、BNP
  • 関連疾患: 動静脈奇形(AVM)、パークスウェーバー症候群、遺伝性出血性末梢血管拡張症(HHT)、乳児肝血管腫、リンパ管腫症

診療科: 循環器内科、小児循環器科

(最終編集:2026212日)