2026.02.19
蛋白漏出性胃腸症
| 内容 | |
|---|---|
| 日本語名 | 蛋白漏出性胃腸症 |
| 英語名 | Protein-losing gastroenteropathy |
| 略語 | PLE(Protein-losing enteropathy) |
| 読み方 | たんぱくろうしゅつせいいちょうしょう |
| カテゴリ | 7、リンパ管奇形 |
蛋白漏出性胃腸症(protein-losing gastroenteropathy)とは、消化管からタンパク質が過剰に漏出・喪失することにより、低タンパク血症(特に低アルブミン血症)を引き起こす病態の総称です。
【病態のメカニズム】
通常、血液中のタンパク質(アルブミンや免疫グロブリンなど)は腸管壁を通過しにくく、消化管への漏出はごくわずかです。しかし、以下のような状態では消化管からのタンパク質漏出が増加します。
・腸管リンパ管の異常(リンパ管拡張症など)
・腸管粘膜の炎症や潰瘍
・腸管粘膜の透過性亢進
・腸管壁の静脈圧上昇
【リンパ管奇形と蛋白漏出性胃腸症】
血管腫・血管奇形の分野では、以下の疾患で蛋白漏出性胃腸症を合併することがあります。
<腸管リンパ管拡張症(Intestinal lymphangiectasia)>
・腸管のリンパ管が拡張・破綻し、リンパ液が腸管内に漏出する
・リンパ液にはタンパク質(アルブミン、免疫グロブリン)やリンパ球が含まれるため、これらが消化管から失われる
・原発性(先天性)と続発性(二次性)がある
<リンパ管腫症(Lymphangiomatosis)>
・全身性にリンパ管組織が増殖する疾患
・腸管にリンパ管病変が及ぶと、蛋白漏出性胃腸症を起こすことがある
・胸水や腹水を伴うことも多い
<ゴーハム病(Gorham-Stout disease)>
・骨を中心にリンパ管病変が進行する疾患
・消化管病変を伴う場合、蛋白漏出性胃腸症を起こすことがある
【主な症状】
・浮腫(むくみ):低アルブミン血症により、血管内に水分を保持できなくなるため
・下痢:脂肪便(脂肪の吸収障害による白っぽい便)を伴うことがある
・腹水:腹腔内に水が溜まる
・体重減少・成長障害
・易感染性:免疫グロブリン(抗体)の喪失による低ガンマグロブリン血症
・リンパ球減少
【検査所見】
・血液検査:低アルブミン血症、低ガンマグロブリン血症、リンパ球減少、低コレステロール血症
・便中α1-アンチトリプシン:消化管からのタンパク漏出の指標として測定
・画像検査:CT、MRI、消化管内視鏡、カプセル内視鏡など
・核医学検査:99mTc標識アルブミンシンチグラフィなど
【治療】
<栄養療法>
・低脂肪食:腸管リンパ管への負担を軽減
・中鎖脂肪酸(MCT):リンパ管を経由せず門脈から直接吸収されるため有用
・高タンパク食:失われるタンパク質を補う
<薬物療法>
・アルブミン製剤:重症例では静脈注射で補充
・ガンマグロブリン製剤:低ガンマグロブリン血症による感染リスクが高い場合
・シロリムス:リンパ管奇形に対する治療薬として効果が期待され、本邦では薬事承認されている
<原疾患の治療>
・リンパ管奇形に対する硬化療法、手術など
【関連情報】
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 関連用語 | 低アルブミン血症、低ガンマグロブリン血症、腸管リンパ管拡張症、アルブミン製剤、ガンマグロブリン製剤 |
| 関連疾患 | リンパ管腫症、ゴーハム病、腸管リンパ管拡張症 |
| 関連治療 | 栄養療法(低脂肪食、MCT)、シロリムス |
https://cure-vas.jp/list/lymphatic-malformation/
(最終編集:2026年2月19日)