TEK(TIE2)(テック)(タイツ―)遺伝子

日本語名

TEK(TIE2)遺伝子

英語名

TEK(TIE2)gene

略語

読み方

てっく(たいつー)いでんし

カテゴリ

6、静脈奇形

TEK(TIE2)遺伝子とは、血管の内側を覆う細胞(血管内皮細胞)の表面に存在する受容体タンパク質「TIE2(Tyrosine kinase with Immunoglobulin and EGF homology domains 2)」をつくる設計図となる遺伝子です。TIE2受容体は、血管の形成・安定・維持に重要な役割を担っており、正常な血管の発達に欠かせないタンパク質です。

【TEK(TIE2)遺伝子と脈管異常の関係】

静脈奇形は、血管腫・血管奇形(脈管異常)の中で、最初に遺伝子異常が発見された疾患です。TEK(TIE2)遺伝子の異常(変異)が生じると、TIE2受容体が常に活性化した状態になり(これを「機能獲得型変異」といいます)、血管内皮細胞の働きが過剰に強まることで、静脈が海綿状・袋状に異常拡張し、血液が貯まる静脈奇形が引き起こされると考えられています。

【遺伝子変異の種類】

TEK遺伝子の変異には2つのパターンがあります。

生殖細胞系列変異:精子や卵子など生殖細胞に起こっている変異で、親から子へと受け継がれます。「家族性皮膚粘膜静脈奇形」という遺伝性の静脈奇形では、この変異が原因の一つとなっており、常染色体顕性(優性)遺伝の形式をとります。

体細胞変異(セカンドヒット):生まれた後に病変の部分の細胞だけに後天的に生じる変異で、遺伝はしません。単発の静脈奇形の多くはこのパターンです。
また、TEK遺伝子と同様に重要な遺伝子としてPIK3CA遺伝子があり、静脈奇形の病変部位からもその変異が多数報告されています。

【治療との関連】

TEK遺伝子やPIK3CA遺伝子の変異によって活性化するタンパク質(シグナル伝達経路)を抑制する薬が、静脈奇形の治療薬として注目されています。これらは「分子標的治療薬」と呼ばれ、代表的なものがシロリムスです。シロリムスは2024年1月に静脈奇形・青色ゴムまり様母斑症候群への適応が薬事承認されました。

| 備考 | TEKはgene symbolの公式名称であり、TIE2はタンパク質名として従来から広く使用されている。青色ゴムまり様母斑症候群(BRBNS)の病変部位でもTEK(TIE2)遺伝子の異常が見つかっている |

https://cure-vas.jp/list/venous-malformation/ 静脈奇形の治療法を教えてください。

【関連情報】

項目 内容
関連用語 PIK3CA遺伝子、体細胞変異、生殖細胞系列変異、機能獲得型変異、分子標的治療、家族性皮膚粘膜静脈奇形、常染色体顕性(優性)遺伝
関連薬剤 シロリムス、PI3K阻害薬、アルペリシブ
関連検査 遺伝子検査(病変組織・血液)、次世代シーケンサー(NGS)、病理組織検査