RAS(ラス)遺伝子(NRAS・KRAS)

項目 内容
日本語名 RAS遺伝子(NRAS・KRAS)
英語名 RAS gene (NRAS, KRAS)
略語
読み方 らすいでんし
カテゴリ 7、リンパ管奇形

RAS遺伝子とは、RASタンパク質(小GTPアーゼ)をコードする遺伝子の総称で、細胞の増殖・分化・生存に関わる「RAS–RAF–MEK–ERK」シグナル伝達経路(MAPKシグナル経路)の最上流に位置します。RASファミリーには主にKRAS・NRAS・HRASの3種類があります。正常なRASは一時的に活性化してシグナルを伝達しますが、活性型変異が生じると、外からの刺激なしに常時シグナルを送り続け(恒常的活性化)、異常な細胞増殖・血管形成が引き起こされます。

 

【脈管異常との関係】

KRAS変異動静脈奇形の病変部から最も頻繁に検出されるRAS遺伝子変異で、体細胞モザイク変異として存在します。

NRAS変異一部のリンパ管腫症(播種性リンパ管腫症)・リンパ管奇形において、NRAS遺伝子の体細胞変異が検出されることが報告されています。NRAS変異を持つリンパ管腫症は、シロリムスへの反応が不十分なことがあり、RAS/MEK/ERK経路を標的としたMEK阻害剤(トラメチニブ)の効果が報告されています。

これらのRAS変異はいずれも体細胞モザイク変異であるため、基本的に遺伝はしません。

| 備考 | RAS遺伝子の変異は多くの悪性腫瘍(膵癌・大腸癌など)でも高頻度に検出される。悪性腫瘍とは異なりモザイク変異であること・特定の病変部に限局することが脈管異常の特徴 |

https://cure-vas.jp/list/lymphatic-malformation/ リンパ管奇形の治療法を教えてください。

【関連情報】

項目 内容
関連用語 RAS/MEK/ERK経路、KRAS遺伝子、体細胞モザイク変異、MAP2K1遺伝子、RASopathy、リンパ管腫症
関連薬剤 トラメチニブ(MEK阻害剤)、セルメチニブ(MEK阻害剤)
関連検査 遺伝子検査(病変組織)、次世代シーケンシング(NGS)・ディープシーケンス

(最終編集:2026226日)