トラメチニブ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 日本語名 | トラメチニブ |
| 英語名 | Trametinib |
| 略語 | ― |
| 読み方 | とらめちにぶ |
| カテゴリ | 8、動静脈奇形 |
トラメチニブとは、「MEK阻害剤(MEK inhibitor)」と呼ばれる分子標的治療薬の一つです。細胞の増殖・生存・血管新生に関わる「RAS–RAF–MEK–ERK」というシグナル伝達経路の中の「MEK(MAP/ERKキナーゼ)」というタンパク質の働きを特異的に抑えることで、異常な細胞増殖を抑制する作用を持ちます。国内では、BRAF遺伝子変異を有する悪性黒色腫(メラノーマ)および非小細胞肺癌に対して保険適応があります。
【脈管異常におけるトラメチニブへの期待】
動静脈奇形の病変部位では、KRAS遺伝子・BRAF遺伝子・MAP2K1遺伝子(MEK1をコードする)などの体細胞変異が検出されることが報告されており、これらの変異によって「RAS/MEK/ERK経路」が過剰に活性化することが動静脈奇形の発症に関与していると考えられています。
トラメチニブはこのMEK経路を直接抑制するため、現在、動静脈奇形に対する治療効果を検討する臨床試験が海外(欧米)で実施されています。ISSVA(国際血管腫・脈管奇形学会)でも優れた治療効果が報告されており、シロリムスが効きにくいとされる動静脈奇形への新たな治療選択として非常に期待されています。
また動静脈奇形以外にも、シロリムスへの治療抵抗性を示したNRAS変異を有するリンパ管腫症などへの有効性が海外の症例報告で散見されており、RASopathy(RAS経路に関わる疾患)全般への応用が研究されています。
【現状と注意点】
現時点では、脈管異常に対するトラメチニブは国内で保険適応がなく、治験(臨床試験)への参加が前提となります。治験に参加しない限り、通常の診療では使用できません。今後の研究の進捗が大いに期待される薬剤です。
| 備考 | 国内では動静脈奇形に対するトラメチニブの治験の予定は現時点でない(2026年1月時点)。海外の臨床試験の結果が今後の国内開発に影響する可能性がある |
https://cure-vas.jp/list/arteriovenous-malformation/ 動静脈奇形の治療法を教えてください。
【関連情報】
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 関連用語 | MEK阻害剤、RAS/MEK/ERK経路、KRAS遺伝子、MAP2K1遺伝子、分子標的治療薬、RASopathy、動静脈奇形(AVM)、ナイダス |
| 関連薬剤 | シロリムス、セルメチニブ(MEK阻害剤)、サリドマイド、アルペリシブ(PI3K阻害剤) |
| 関連検査 | 遺伝子検査(KRAS・BRAF・MAP2K1変異)、MRI検査、血管造影検査、超音波ドプラ検査 |
(最終編集:2026年2月23日)