2026.02.19
治験
| 英語名 | Clinical trial |
| 略語 | ― |
| 読み方 | ちけん |
| カテゴリ | 1、血管腫・血管奇形と診断された方へ |
治験(clinical trial)とは、新しい薬や治療法の有効性と安全性を確認するために、実際に患者さんに協力いただいて行う臨床試験のことです。治験で得られたデータをもとに、厚生労働省に承認申請を行い、承認されると保険診療で使用できるようになります。
【治験の目的】
治験の大きな目的は、新薬や未承認薬の効果を科学的に実証し、薬事承認(国から薬として使用する許可をもらうこと)を得ることです。治験を経て承認された薬は、保険適用となり、多くの患者さんが使用できるようになります。
【治験の段階(相)】
治験は通常、以下の段階を経て進められます。
・第I相試験(Phase I):少数の健康な人(または患者)を対象に、安全性や体内での薬の動き(薬物動態)を調べる
・第II相試験(Phase II):少数の患者さんを対象に、有効性や安全性、適切な投与量を調べる
・第III相試験(Phase III):多数の患者さんを対象に、既存の治療法と比較しながら有効性と安全性を確認する
【企業治験と医師主導治験】
<企業治験>
・製薬企業が主体となって計画・実施する治験
・採算性が見込める疾患の薬の開発が中心
<医師主導治験>
・医師・研究者自らが企画・立案して実施する治験
・患者数が少ない希少疾患では、採算性が合わないため企業が開発に参入しにくい
・そのような場合に、医師が自ら治験を行い、医薬品を開発できる仕組み
・血管腫・血管奇形の分野では、医師主導治験によって新薬の開発が進められている
【血管腫・血管奇形分野における治験の例】
血管腫・血管奇形は希少疾患であるため、医師主導治験によって新薬開発が進められてきました。
<シロリムス>
・難治性脈管異常(脈管腫瘍、リンパ管奇形、静脈奇形など)に対する医師主導治験が実施された
・治験の結果をもとに、2021年に難治性リンパ管疾患、2024年に難治性脈管腫瘍・脈管奇形(脈管異常)に対して薬事承認された
・現在は保険診療で使用可能
・ゲル剤についても医師主導治験が実施され、現在も開発段階である
<モノエタノールアミンオレイン酸塩(オルダミン)>
・静脈奇形に対する硬化療法の有効性および安全性を評価する医師主導治験が実施された
・薬事承認され、現在、手術点数の検討が済み次第、保険診療で実施可能となる
<サリドマイド>
・オスラー病(遺伝性出血性末梢血管拡張症)の反復性鼻出血に対する企業治験(FPF300の反復性鼻出血を有するオスラー病を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験及びオープン試験(第III相))が実施中である
<PI3K阻害剤(アルペリシブ、セラベリシブ)>
・アルペリシブはPIK3CA関連過成長症候群(PROS)に対して、海外で臨床試験が行われ、米国FDAで承認(2022年)
・本法では、静脈奇形、リンパ管器形、クリッペル・トレノネー症候群に対するセラベリシブの第Ⅱ、Ⅲ相試験が実施され、開発中である
【治験に参加するには】
治験に参加するためには、以下のような条件があります。
・対象となる疾患であること
・治験で定められた参加基準を満たすこと
・治験の内容を理解し、自分の意思で参加に同意すること(インフォームド・コンセント)
・治験実施医療機関に通院できること
治験への参加を希望される場合は、主治医に相談するか、治験情報を公開しているウェブサイト(臨床研究等提出・公開システム:jRCTなど)で情報を確認してください。
【治験参加のメリットとデメリット】
<メリット>
・まだ承認されていない新しい治療を受けられる可能性がある
・専門医による詳細な検査や診察を受けられる
・治験薬や検査の費用が製薬企業や研究費から支払われることが多い
<デメリット>
・予期せぬ副作用が起こる可能性がある
・効果がない場合もある
・通院回数や検査が増えることがある
・プラセボ(偽薬)群に割り付けられる可能性がある(比較試験の場合)
【関連情報】
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 関連用語 | 医師主導治験、臨床試験、薬事承認、インフォームド・コンセント、保険適用 |
| 関連薬剤 | シロリムス、アルペリシブ、セラベリシブ、サリドマイド、モノエタノールアミンオレイン酸塩 |
(最終編集:2026年2月19日)